それでも僕らはアジア人なんだ
先日、大学生の春休みという途方も無い休みを活かしてヨーロッパの様々な国を訪れてみた。
以前会った年配のお医者さんにも
「この世界の秩序を作った第一世界の中心を見ないといけない」
とも言われたし、自分自身大学で学ぶ中でやはりヨーロッパの偉大な学者、思想家について触れる機会が多かった為一度は見ておこうと思ったのだ。
まぁ単純にヨーロッパ楽しそうだし、というのが大きいが…
旅の始点はフランスはパリだった。
そしてこの旅で最も居心地の悪いと感じた地域もこのパリだった。
フランス人は基本的に白人が多い。
もちろん黒人もいるが、どちらかというと社会的階層の低い人が多いように感じた。
職業に貴賎なし、とはいうものの清掃員が悉く黒人であったり、強引な客引きをしているのもそういう人たちだと実際の社会構造から目を背けることはできない。
日本以外の国では、基本的にサービスというものはそれ相応の代金を支払わなければ得られない。
しかし、自分が長期間旅をする中でそんな金銭的余裕もなかった為、比較的安価なところに行かざるを得なかった。
そんな中でもエッフェル塔近くのカフェで昼食を取ろうとした際中年のウェイターがついたのだが、他の白人系旅行者に対してより、やはりアジア系である私に対しての当たりは強かった。
身長はおよそ175cmある筆者だが、フランスに行くと身長はむしろ小さい方に入る。
そうすると基本的には舐められるのだが、この店員はかなりあからさまに対応が雑で
・注文を取りに来ない
・来ても学校「そんなのは出せない」と言ってどこかへ行く
などなど他の客とは一線を画す(笑)接客であった。
フランス語を話せない自分にも非はあるがそれでもなぁ…と感じた。
この後10カ国近く回ったが大なり小なり同じようなことを感じる場面は多かった。
高校の時イギリスの高校に短期で行った際も各国から集められた生徒の中で白人系がマジョリティを占め、アジア系はやはり蚊帳の外、といった感があった。
日本においては白人は現代でなお特別扱いを受けている。
彼等と話をすると、日本人女性は彼等を見るなり観光スポットのごとく集まってくるのでそれを最高!と考えている人もいれば辟易している人もいた。
また在日20年ほどになる白人男性の知人は未だにほとんど日本語が話せない、というか話す気はないが日本において英語が話せればどうにかなると考えている。
一方で在日の中華系の人を叩く人の意見としては「中国人は勝手にコミュニティを作って日本に順応する気すらなくこれは侵略だ」と。
しかしこの文脈で英語を使う白人系が叩かれるのを見たことがないのは私だけだろうか。
実際知人はなんの苦労なく生活しているが、黒人の男性は「見た目が怖い」といわれ日本社会は生きづらいと感じている。
こういった差は日本における西欧信仰の中で育まれたものであろうが、西欧でも白人至上主義とまではいわなくともやはり自国民(の中でも白人)が優先でそれ以外は自分たち以下という意識があると旅を通じて感じた。
もちろんみんなそんなことを口に出しはしない。
しかし、根底では持っているのだ。
そんなことは当たり前と言ったらそれまでだが昨今の日本における英語至上主義や外国人の中でも白人を優遇する姿勢など世界には未だに人種による意識差が存在するのだなとしみじみ実感し、良い学びにはなったが少し悲しくもなった旅であった。